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『凶乱令嬢ニア・リストン』漫画第1巻ネタバレ感想|死闘を求める令嬢、リノキスとの師弟関係が始まる

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『凶乱令嬢ニア・リストン』漫画第1巻ネタバレ感想|死闘を求める令嬢、リノキスとの師弟関係が始まる

死んだはずの武人が突然、病に倒れたひん死の幼い令嬢の身体で目を覚まします。
第二の人生でその武人が望むものは、今度こそ自分を倒せる強者との出会いでした。

ところが、病床の周りにいるのは心配性の家族と、何かにつけて世話を焼きたがる侍女。
武とは程遠い、病弱な令嬢の身体、そして家業としての魔法映像、ニア・リストンの新生活は思いがけない方向へ転がり出します。

第1巻には、以前の身体の持ち主(本来のニア・リストン)への誓い、魔法映像での活躍、悪党相手に笑顔を浮かべる物騒さ、方向性の全く違う要素がニアを中心に巻き起こりました。
アンゼルとの一戦からリノキスの弟子入り、ヒルデとレリアとの出会いまで、一冊の勢いを振り返ります。

※漫画版第1巻・第1〜5話の展開に触れるネタバレ感想です。

第1巻の基本情報と収録話

項目内容
作品凶乱令嬢ニア・リストン(漫画版)
巻数コミックス第1巻
収録話第1話〜第5話
主要人物ニア、リノキス、ニール、シャロ、アンゼル、ヒルデトーラ、レリア
主な舞台リストン領、王都アルトワール、アルトワール学院
話物語が動くきっかけ
第1話武人の魂がニアの身体に入り、魔法映像で生存を報告する
第2話家族の事業を知り、魔法映像への出演と王都での仕事を始める
第3話劇団のシャロを巡る騒動から、アンゼルとの対面へ進む
第4話王都で大暴れした夜の終わりに、リノキスが弟子入りを願う
第5話学院でヒルデ・レリアと出会い、三人の協力関係が始まる、厄介主人オタの侍女2人の大競り合い

第1巻のあらすじ|第二の人生は、戦いと魔法映像の両方で忙しい

目を覚ました武人を待っていたのは、重い病を抱えた小さな身体でした。
反魂の法を使った黒マントの術者も長くはもたないと告げるが、本人は氣を巡らせ、衰弱した身体を少しずつ立て直していきます。

武人はニアとして生きる以上、ニア・リストンが本来受けるべきだった愛情を自分が受けることになったので、その家族への責任も引き受けようと決めました。
そう決めた矢先に知るのが、両親が娘を救おうとして始めた魔法映像事業と、そこに投じられた莫大な資金です。

家族の力になろうと撮影へ飛び込めば刀剣職人を刺激し、劇団の宣伝にも協力します。
王都の路地裏で悪党に出会ったときには、長く待ち望んだ実戦の機会に胸を躍らせてしまいます。

やがて学院へ入学したニアの前に、王女ヒルデトーラと令嬢レリアレッドが現れました。
これから魔法映像を広めると仲間とも出会い、武人の破天荒な第二の人生はさらに賑やかになっていきます。

第1〜5話の見どころ|何が面白いのかを振り返る

第1話|死にかけているのに、頭の中は武人のまま

強者との死闘を望んでいた武人が、病床のニア・リストンとして目覚めました。
黒マントの術者から厳しい余命を告げられても、取り乱すより先に自分の身体を調べ、氣の巡りを立て直そうとする冷静さは頼もしさと、強者の落ち着きが感じられます。

娘がようやく死の淵から戻ってきたというのに、両親は嬉しさのあまりニアを激しく揺さぶってしまいます。

(心の中で)「いや死ぬかもこれ」

深刻な状況から一転、大丈夫そうな反応で安心しつつも、この極端な高低差が凶乱令嬢ニア・リストンの面白さです。

体力が戻り始めると、兄ニールの剣の稽古で木剣を半ばまで斬ってみせます。
ただし、その腕前に身体が追いつかず、握力の弱さで剣を取り落とすところが、ある意味リアル。
最強の技と幼い肉体の不自由さが、わずかな実践の中で鮮やかに伝わってきます。

私がこの導入で特に好きなのは、ニアが自分のために失われた少女の明日を生きようと決める場面です。
前世からの宿願を抱えたまま、新しい家族と向き合う覚悟も固める、その決意があるから、後にどれほど物騒なことをしても、ニアという主人公を追いかけたくなります。

そして、生き延びた姿を魔法映像で自ら報告するニアは、白くなった髪を隠そうとしません。
ニア・リストンが病と戦った証としてその姿を選ぶ締め方にも、強者らしい潔さがにじんでいます。

いきなり名場面だらけの第1話でした。

第2話|家の負担を知った令嬢が、選んだ仕事

病から生還した領主の娘として、ニアの魔法映像出演は好評を得ていました。
ところが兄ニールとの話で、リストン家が魔法映像事業に大金を投じ、借金もしているため、できるだけ早く利益を必要としている事情が見えてきます。

娘を救うために始めた事業なら、自分にも返せるものがあるはずです。
ニアは出演を重ねて魔法映像を普及させる道を選び、第二の人生に「働く理由」が加わります。

この決心の後に続く仕事ぶりは、どこへ転がるか分からない愉快さに満ちていました。
刀剣復元の工房では、職人の言葉をうまく引き出しながら、最後には自ら剣で盾を斬ってみせます。
撮影の最中でさえ実戦感覚を確かめようとするあたり、ニアの「武人としての心」は少しもぶれていません。

王都では劇団氷結薔薇から出演依頼を受け、新人主演女優(シャロ)の相手役まで引き受けることに。
劇団はニアの人気と度胸を借りたい、ニアは王都で知名度を伸ばそうとしました。
双方の思惑が噛み合って仕事が決まる流れも、魔法映像を軸にした物語ならではの面白さがあります。

そして最後はニアお嬢様の厄介強火オタク、侍女リノキスの不穏なセリフで終わります。

(ナイフを持った)リノキス「ああ、もう我慢できません。あいつ、殺しましょう」

第3話|助けに行くのか、殴りに行くのか。ニアの本音が怖い

劇団の新人女優シャロ・ホワイトは勝ち気で、ニアにも遠慮がありません。
その態度が気に入らないリノキスは、我慢できず、小道具のナイフで「ヤル気」になっていたのです。
(もちろん、ニアに止められます)

それでも稽古を重ねるうちに二人の距離が縮まり、舞台の宣伝撮影へと話が進んでいきます。

そんな矢先、シャロが路地裏でチンピラに絡まれていると聞かされます。
ニアはリノキスに衛兵を呼ぶよう命じるが、当の本人は久々の乱闘を前に、心の中で大喜びしていました。

ここが実にひどいのです。シャロを助ける気持ちも本物なのに、悪党を相手に腕を振るえる喜びまで隠しきれません。
危険な相手に向かって胸を躍らせる姿を見ていると、ニアの価値観が常人と根本から違うことを思い知らされます。

出典:漫画『凶乱令嬢ニア・リストン』第1巻第3話
原作:南野海風、漫画:古代甲、キャラクター原案:磁石・刀彼方

チンピラを圧倒したニアは、さらに強い仲間を集めておくよう約束させます。
二週間後、その約束を果たそうと向かった「ZIGZAG BAR」で待っていたのが、裏社会の実力者アンゼルでした。

舞台の稽古や宣伝撮影からの流れで、まさかここまで物騒な夜になるとは。
穏やかな日常から戦闘へ切り替わる速さ、そしてニアの最高の笑顔がアクセントとなり、続きが気になるところで幕引きです。

第4話|アンゼルを圧倒した夜、リノキスは何を決めたのか

アンゼルの拳をまともに受けても、ニアはまだ戦いが始まったばかりという涼しい顔。
攻撃が通じない相手を前に男が困惑する一方、ニアはその一撃を味わい、戦う者としての助言まで始めてしまいます。

やがてアンゼルが鉄棒を取り出し、契約武装という魔法の存在も明らかになります。
ニアは目の前に現れた未知の技術へ、まるで珍しい玩具を見つけたような興味を示しました。
相手にとっては必死の勝負なのに、武人の好奇心はどこまでも自由なのだから恐れ入ります。

アンゼルとの決着がついたところへ、今度は大勢の悪党たちが姿を現しました。
ニアは嬉々として迎え撃ち、誘拐を企てたボスにまで口止めを求めます。
小さな令嬢に怯える大人たちという光景は、強さの差をギャグへ変えてしまうという、本作の真骨頂でしょう。

ところが、この夜で私の印象に最も残ったのは、騒動が静まった後の場面でした。
ニアの実力を知ったリノキスが、主人を守れる侍女になるため、武術の稽古を願い出ます。

ニアはその願いを受け入れ、侍女リノキスを自らの一番弟子として迎えました。
護衛される側が護衛を鍛えるという不思議な師弟関係が、ここで誕生しました。

物騒な夜の最後に二人の信頼が形になるため、読後には意外な温かさが残ります。

第5話|世界を狙う王女、ライバル令嬢、そして過激な侍女たち

やがて一年が過ぎ、六歳になったニアの生活は、アルトワール学院へと舞台を移しました。
そこで出会うヒルデトーラ王女が、魔法映像を使って王国の影響力を広げるという大きな構想を披露します。

過去の帝国が飛行船による大量亡命で衰退した話まで持ち出し、情報の力で王権を支えようと語るヒルデ。
そのスケールの大きさに感心したところで、肝心の普及方法は「NO PLAN」という落差が待っている、このギャップが凶乱令嬢ニア・リストンの面白さです。

一緒に話を聞くレリアレッドは、ニアへの対抗心を早くも燃やしていました。
しかもニアは、レリアの制服撮影へ便乗すれば両家の宣伝になると判断し、本人の勢いで話を進めてしまいます。協力者であり、競争相手でもある二人の関係が、なんとも騒がしいものです。

極め付きは、リノキスとレリアの侍女エスエラが始める主人自慢の言い争いでしょう。
どちらの主人が可愛いかを巡る口論は、そのうち拳で決着をつけそうな勢いに。
主人たちが世界の行く末を話す傍らで、侍女たちの愛情は喧嘩寸前まで燃え上がります。
↓詳しくは、こちらのエピソードから

こうして第1巻は、いよいよ始まる学院生活への期待を残して幕を閉じました。
死闘を求めた武人に、師弟関係と競争相手、そして大きな仕事が加わったところで、次巻への期待も膨らみます。

第1巻が面白い三つの理由

戦いたくて仕方がない。でも、引き受けた人生には律儀

第1話でニアの身体に入った元武神は、自分を倒せるほどの強者との出会いを望んでいました。
王都の悪党を相手にすると、その願いが隠しきれない喜びとなって噴き出します。

一方で両親の苦労を知れば家のために働き、助けられた命をどう生きるか真剣に考えていました。
一見ちぐはぐな行動にも本人なりの筋が通っており、危うい戦闘欲求にまで妙な説得力を与えています。

魔法映像が、仕事から冒険への道をつくる

家族の投資を回収するため、ニアは番組出演や劇団との協業にも積極的に取り組みます。
浮島を飛行船で移動し、職人や役者と出会う過程で、自然と世界の広さも伝わってきました。

さらに学院では、映像が普及すれば強者の存在を知る機会も増えるとニアは考えます。
家族への恩返しから始めた活動が、自分の願いへもつながっていきます。
この欲張りな動機の重なりこそ、今後の物語を追いかけたくなる理由の一つです。

ニアの強さが、周囲の人物の物語を動かす

とりわけ第4話のリノキスの弟子入りは、物語を新しい段階へ進める転機になりました。
強すぎる主人を守りたいという思いが、自分も強くなるという決意へ変わり、二人の関係に新しい役割を生みます。

ヒルデの野望やレリアの対抗心も、ニアという存在に触れて動き始めました。
さらに侍女たちは主人への愛情を張り合い、当人たちとは別の場所で火花を散らします。(個人的にはここも大好き)

主人公の魅力が他の人物へ波及していくから、世界が一段ずつ賑やかになります。

読んでいて特に面白かったところ、少し気になったところ

数ある見どころの中でも、やはりアンゼルとニアの戦いが強く印象に残りました。
正面から攻撃を受けても笑顔を崩さず、相手の力を確かめてから助言を送るニア。
その態度がアンゼルの困惑を際立たせ、戦闘に独特の可笑しさを生んでいました。

第3話で、リノキスがニアの本音を見抜いて問い詰める場面も捨てがたいものです。
主人がどんな人物かよく分かっているからこそ成立する掛け合いで、二人の関係の長さと近さが感じられます。

少し気になったのは、浮島、階級制度、魔晶板、契約武装と、新しい設定が次々に登場する点です。
初めて読むと一つ一つを咀嚼する余裕が少ないかもしれないが、どの設定も人物の行動に絡むため、二度目には発見が増えそうです。

それ以上に嬉しいのは、凄惨になりかねない場面の直後に、家族や侍女たちとの妙な日常が戻ってくること。
戦闘の熱さと日常の軽妙さが互いを引き立て、第1巻を最後まで気持ちよく読ませてくれました。

そして何より、ニアが戦っている分にはどんな危険な状況になろうとも、最後は無事に(?)終わって、また平和な日常が戻ってくる、という安心感があります。

第2巻へつながる期待|学院で何が起こるのか

ニア、ヒルデ、レリアは魔法映像の普及という目標を共有したものの、具体的な方法はこれから考える段階です。
三人の性格がここまで違うのだから、同じ企画に取り組むだけでも騒動の予感がします。

もう一つ、今後の成長が気になるのが、一番弟子となったリノキスです。
主人を守るために始めた修行は、これから二人の関係をどう変えていくのでしょう。
王都で見せたニアの強さを思い出すほど、その先が楽しみになってきます。

第1巻の総評|物騒な武人が、令嬢として生き始める

第1巻を読み終えると、真っ先に浮かぶのは、悪党を前に満面の笑みを浮かべる小さな令嬢の姿。
一方で、病と闘って白くなってしまったニア・リストンの髪を誇りに思い、家族の苦労を知れば働くことを選ぶ誠実さも忘れがたいものです。

アンゼルとの対決は戦闘の迫力を、リノキスの弟子入りは人物同士の関係の変化を見せてくれます。
そして学院でヒルデとレリアが登場すると、今度は魔法映像という仕事の可能性が広がりました。

強さ、笑い、仕事、仲間という異なる要素が、ニアの新しい人生を通して一つにつながっていきます。ページを閉じた後にも次の騒動が待ち遠しくなる、そんな勢いに満ちた第一歩でした。

関連記事・第1巻の購入案内

第1〜3話の詳しい展開や場面を振り返る場合は、個別のあらすじ記事もご利用ください。

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両記事は漫画第9巻までの内容を含むため、未読の方はネタバレ範囲にご注意ください。

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